マスター



狭い店の片隅 ギター片手のお前はR&B
問わず語りの俺とマスターの笑い声と
レコードが届いたと夜中に俺たちを呼び出しては
酒の肴に恋愛論 うまくやれよが口癖
  時の流れに 誰もがみんな
  変わってくとひとり溜息ばかり
あの頃の歌を聴かせておくれ
あの頃の夢を聞かせておくれ


狭い店の片隅 夢刻む俺たちの爪痕と
マスターの愛したナポレオンがひとつきり
堅い仕事に就いた俺たちは日々の暮らしに追われ
語り明かした夜も忘れかけていた頃
  出合い頭と噂で聞いた
  酒を酌んで俺は溜息ばかり
あの頃の歌を聴かせておくれ
あの頃の夢を聞かせておくれ

あの頃の歌を聴かせておくれ
あの頃の夢を聞かせておくれ


遠い町の片隅 今も思いだすあのマスターの
やりきれない笑顔と「オメデトウ」の一言